その後、贈り物として白金貨を渡そうとしたが、その資格が無いと固辞された。 領を放り出すかもしれないから、受け取れないのだろう。 少々予想外の展開だったが――とりあえず話し合いは終了した。 俺と一緒に子爵邸から出てきた夫人――カナンを見て、獣人達が叫んだ。「ちょっと! お嬢! まだ増えるようだぜ? いいのかよ?」「ほほほ――よ、余裕です」 プリムラの笑いが引きつっているが、あとが怖い。「なんか、凄い面子になってきたにゃ」 カナンの荷物をまとめてもらい、後で取りに来ることになった。 彼女が、マイクロバスを見て驚く。「これも、ケンイチ――様の、召喚獣なのですか?」「ケンイチでいいけど」「王族様の手前もありますし……」「二人とも、もう王族じゃないからな」「それでは、ケンイチでいいか?」「ああ」 出発の前にアキラの所に行く。「アキラ、どうする? 俺が向かう場所にゃ、マジでなにもないから、領が立ち上がるまでアストランティアに滞在しててもいいぞ。車も預けておくし」 俺が子爵邸にいる間に、アキラの家族で話し合いをしたようだ。「ケンイチ――悪いが、ウチの女たちは、やっぱり街のほうがいいみたいだ。車を貸しておいてもらっていいか?」「いいぞ。人材の送り迎えを頼んだりすると思うけど」「オッケー! どうせやることもないしな」 プ○ドなら、彼のアイテムBOXに入れられるので、駐車場要らずだ。 彼に、バイオディーゼル燃料が入ったプラタンクを2個ほど渡す。「サンキュー、恩に着るぜまったく」 マイクロバスに戻ると、プリムラが運転席にやって来た。「ケンイチ、マロウ商会へ寄ってください」「解った」 マイクを取って、後ろの車に連絡を入れる。「お~い、アキラ。この街にあるマロウ商会の支店へ向かうから。そこで泊まる所とかの相談をすればいい」『了解!』 俺は、アキラたちを引き連れて子爵邸を出ると、マロウ商会のアストランティア支店に向かった。