その役割を担う神としては一般的である。しかし京都では布袋さんが幅を利かせている。これは毎年二月、伏見稲荷の「初午(はつうま)大祭」に参詣した帰りに求め、おくどさんの脇にずらりと並べてゆくという習慣があるためである。 けれど、うちの布袋さんは東寺の弘法市を訪ねたついでに近くの『郷土玩具 平田』で手に入 れたもの。なにしろ「ごっこ」だから、本格的であることにはちっとも拘らない。だいたい台所に置くためではなく伏見人形自体(そのもの)が欲しくて買ったのだ。後になって竃(かまど)の守護神としても働いてくださると知り、コンロ前に落ち着いてもらうことにした。