その後、岩の家のダイニングテーブルにて。 リオ達は大事な話し合いの前に、朝食を済ませることにした。メニューはきのこと卵の雑ぞう炊すい、ふわとろのオムレツ、付け合わせにウィンナーとベーコン、スープ、サラダ。ドリンクはりんごジュースを用意して――、「いただきます」 実食と相成る。「美お味いしい……」「本当、すごく美味しいです!」 クリスティーナとフローラが口許を押おさえて感想を言う。ぱちぱちと目を瞬しばたたいて静かに呟く姉と、嬉うれしさをそのまま素す直なおに表現する妹が実に対照的である。「お口に合うのなら良かった。昨夜は消化に良いお粥かゆにしたので、朝は空腹になるだろうと思って少し多めにご用意しました。たくさん召し上がってください」 というリオの言葉を受けて、色々な料理に手をつけていく王女姉妹。そして――、「これだけ美味しい料理を、ハルト様はどちらで学ばれたのですか?」 フローラが不意に尋たずねた。「料理の基き礎そは学院にいた頃ころに図書館で本を読んで覚えて、後は自じ炊すいするようになって鍛きたえました。美春さんを保護してからは色々と勇者様の世界の料理を教えてもらって、レパートリーをさらに増やしたといった感じでしょうか」「ミハル様……。夜会で顔を合わせてほんの少しだけお話をした程度ですが、とてもお優やさしい方でした。今はロダニアの外にいらっしゃるのですよね?」 と、フローラが美春の印象を語って尋ねる。「ええ。サラさん達に護衛についてもらって、安全な場所で暮らしています」「……答えにくいことでしたら回答を拒きよ否ひしていただいて構わないのですが、レストラシオンに合流するまでの間はセリア先生もアマカワ卿やミハルさんと一緒にお暮らしになっていたのですか? その、アマカワ卿の正体を知った上で……」 話題が変わってちょうど良いと思ったのか、クリスティーナがリオの顔色を窺いながらセリアの話をしてきた。どこまで踏み込んで訊いていいものか測りかねているのか、少し緊きん張ちようしているようにも見える。