私はちょっとしょんぼりして、ブルーダブになったザビリアの青い羽を撫でる。「ほんとはね、シリル団長にすごい策を授けてもらったんだけど、失敗しちゃったのよ。人間の想像力は最強らしいから、ザビリアを見せるよりも、相手にどんな魔物かを想像させる方が、怖い魔物を想像して、恐れおののくんだって」「ふ――ん。……面白い考え方だね」「だけど、この作戦は上手くいかなかったから、もう、止めるわ。よく考えたら、私の従魔がすごいって恐れおののかれたとしても、別にいいことはないしね」「従魔の強弱は騎士間の上下関係に影響を与えるだろうから、それがいいことだと思うけど? まぁ、フィーアはそんなことに興味はないよね」「だから!」私は、両手でザビリアを抱き上げると、目の高さを合わせた。「だから、もう、ザビリアを連れて歩こうと思って! せっかく一緒に来てくれたんだもの、一緒にいたいわ。もちろん、私の側が退屈なら、部屋のベッドで眠っていても、王城の庭で遊んでいてもいいからね。ただ、ザビリアって思ったより強そうだから、しばらくは、黒竜ってことを隠しといた方がいいんじゃないかと思って。だから、念のために作ろうかなと思っていた、このブルーダブグッズを早速作ることになって、すぐに活躍するってわけよ! もちろん、他の騎士の従魔がザビリアくらい強くて、あなたを紹介しても悪目立ちしないようだったら、正式に私の従魔は黒竜ですって紹介するからね」「その考え方でいくと、僕はずっとこの青い鳥のままだね。ああ、フィーアの側にいられるのはものすごく嬉しいけれど、この最弱の魔物に擬態しないといけないってのは、魂を削られるほどの苦痛だよ」ザビリアがぶつぶつと言っているけど、私の側にいられて嬉しいってところはちゃんと聞こえたわ。連れてきて、よかった。あとは……「……思わせぶりな態度か……。今後も必要になってくるかもしれないから、もっと練習しないとね」「フィーア、それは誰のためにもならないから、やめた方がいいと思う」「ふふ、ザビリアったら、まだまだ子どもで可愛いのね。でも、大人はもっと狡猾にならないといけないのよ」「……うん、頑張ってね」ザビリアは諦めたような声を出すと、目を閉じた。大丈夫よ、ザビリア。あなたは、私が守ってあげる。もう、誰からも虐めさせないからね。