ちらりと少女へ視線を送ると、やはり全身からやる気を漲らせている。いや、たぶん僕も同じ表情をしているかな。 ぺたりと小さな手から腕に触れられると、夏の気温のせいか、少女の手は温かく感じられた。「ねえ一廣、一緒に頑張って古代迷宮を踏破しましょう」「うん、そうしよう。ただ、どちらにしろ僕らは迷宮に挑戦していただろうけどね」 がしりと少女と手を組むと、意外にも力強いものだった。 それはそうか、彼女は幾つもの独自魔術を覚え、そして魔導竜を師匠にしている女性なのだから。 これ以上なく頼もしい相棒に、決して迷宮踏破は無理ではないと僕は感じた。 ただ一人、そんな光景を眺めていたシャーリーは、なぜか寂しい感情を覚えていた。手を伸ばせば届きそうな距離なのに、どこか遠い世界のように思えてしまう。 その理由に、彼女はまだ気づけない。 ただひとつ気がかりなのは、僕はどうやってトイレに行けば良いのか、という事だね。