ガウガウ!(皆みな! 喜べ! 王陛下が、我らに狩りをご指導くださるそうだぞ!)」「わん?!(え?!)」 いやいや! ちゃんと俺の話、聞いてた?! 狩るのは君たち。食べるのは俺。 これでしょ?!「「「ガウガウガウ!(王よ! 王よ! いと強き王よ!)」」」 いつの間にか増えていた狼たちが輪唱する。「わ、わん?!(え?! ちょ?! まっ?!)」「ガウッ(さあさあ、王よ、こちらへ。実は厄介な魔物が発生しておりまして。丁度よかった。ぜひ王の手並み、我らに拝見させてください!)」「わん!?(ガロ?! ガロちゃん?! 怒ってる?! もしかしてめっちゃ怒ってる?!)」「ガウガウ(いえいえ、まさかそんな。私が王へ怒りを向けるなど、そのような不敬をなすはずがありません)」「わんわん(いやでも、……怒ってますよね?)」「ガウ(いいえ、まったく怒ってなどおりません。私はただ、王の勇姿を拝見したいだけです)」「わんわん!(嘘だ! 絶対さっき言ったこと怒ってるんだ!)」 あかん! こいつ、根に持つタイプだ!「ガウ(さあ、王、参りましょう。我ら一同、王のお手並みを心より拝見させていただきます)」「きゃいいいいいん!!(やだあああああ! これ凄いのと戦わされるやつだあああああああ!!)」 俺は半ば引きずられるようにして、狼たちに連行されるのだった。