「いらっしゃいませー。一名様ですか?」「いや、連れが先に来てるはずだ。煉獄って名前で予約を取ってると思う」「煉獄様ですね。ご案内致しますので、こちらにどうぞ」店員に案内され部屋にたどり着く。通された部屋は扉越しにも盛り上がりが伺えた。「おい、お前ら!ド派手に騒いでるじゃねぇか!」宇髄の登場に部屋中の視線がそちらへと向かう。やっと来たか!と最初に声をかけてきたのは煉獄だった。「遅かったではないか!書類作成は終わったのか?」「なんとかな。ったくよぉ、あのハゲ面倒な仕事押し付けやがって」「まぁそう言うな。これも教師の務めというやつだ!」煉獄の頭越しにざっと部屋を眺める。どうやら、自分が最後であったらしい。「宇髄さん、お疲れ様です!とりあえず、みなさん揃ったということで乾杯しますか?」竈門の一声に皆グラスを持ち上げる。いつの間に頼んでいたのか、自分にも生ビールが渡された。「うむ、では誰が乾杯の音頭を取るか…」悩む煉獄に、もうお前でいいよと声をかける。「そうか?では僭越ながら、俺が音頭を取らせて頂こう。忙しいなか、皆よく集まってくれた。久しぶりの飲み会だ。楽しもう!乾杯!」「「「「「乾杯!」」」」」そこからはどんちゃん騒ぎだった。酒を飲みつまみを食べ、皆が思い思いに騒ぐ。そんななか、宇髄は机の端に置かれた誰も手をつけていない皿とグラスに目をやった。このメンバーでの集まりはこれが初めてではない。幹事は持ち回り制で、今が何周目なのか分からない程度には自分たちは集まり酒を酌み交わしている。誰が幹事であったとしても予約は六人で取った。誰も何も言わず、当たり前のように。