少女が消えたとき、宇髄は荒れた。自分と冨岡でさえ冷や汗をかくほどに、それはそれは恐ろしい有様であった。それでも、宇髄は時間をかけて燃え上がる炎をその身の奥深くに隠したのだ。しかし、今再び炎は音を上げ始めた。自らも相手も共に燃やし尽くさんと言わんばかりに。元より消えたとは思っていなかったし弱まっているとも思っていなかったが、これはなかなか………。少女には合掌せねばなるまい。あれだけの炎から身を守ることは不可能だ。助けようにも近づくことすらできないだろう。どういう事情があって、彼女が逃げ出したのかは分からない。しかし、今更逃げても遅かったということだ。本当に逃げたいのであれば、そもそも彼女はあの男と出会うべきではなかったのかもしれない。近い将来捕らわれるであろうその姿を想像して、煉獄は心の底から彼女に同情した