「微小精密光学素子」とは、米粒のように非常に小さなレンズ、プリズムそしてフィルタなどの光学デバイスの総称です。
しかし、レンズなどの光学部品を小さくしただけなのか?というとそうではなく、さまざまな微細加工を施し、精密光学素子ならではの特性を持たせています。
その一つが、「MLA(Micro(Multi)Lens Array)」です。
これは、小さな光学素子の表面に、直径数10~数100マイクロメートル*1という小さなレンズ(主に凸レンズ)を配列したデバイスです。主に、光信号を並列処理するファイバ光学系の要素部品としてその用途が拡大しています。
ニコンでは、マイクロレンズの一つひとつを非球面形状などに精密加工することができます。
もう一つ注目されている精密光学素子が「DOE(Diffractive Optical Element:回折光学素子)」です。
一般のレンズでは屈折現象を利用して光の進行方向を変えるのに対し、「DOE」は、光の回折現象を利用して光の進行方向を変えます。「DOE」の中でも最近注目を集めているのがブレーズ型の回折光学素子です。
「ブレーズ型回折光学素子*2」には、"入射する光の全てを、特定の方向(特定の回折次数)にだけ集中できる"という優れた特徴があります。
ニコンが製造する微小なブレーズ型回折光学素子は、大きさ数ミリメートルの素子の上に、数10~数100マイクロメートル単位のノコギリ歯状の断面構造を微細加工して施します。まさに微細な加工技術です。
情報通信(IT)分野、とりわけこれからますます普及し発展する光通信分野向けにも、ますます応用が進んでいくものと期待されています。