あの時の私の俊敏さは、もう今年のベストオブ俊敏でしたで賞を差し上げたい。あの時の私グッジョブである。 しかもそのあと、タゴサクさんは咽び泣きながら、『神の声がここまで届いたのでございます……。人々を癒す、名前を言うのも恐れ多いあの方の奇跡のお力がこの地にふるわれたと!』とおっしゃって、あの時点ですでに、私が生物魔法を使った件がばれていた。 タゴサクさんの情報網にマジで戦慄した。 一応、あれはお薬を処方しただけで奇跡のお力ではないんですよーと伝えてはみたものの、『分かっております、ええ分かっております、わかっておりますとも。このタゴサク、リョウ様のお気持ち、全て分かっております。ささ、まずは屋敷の中に入りましょう。ささ』と言って、私の言葉なんて耳に入らないのか、キラキラした目で私を仰ぎ見るのみである。 もしかしたら、私の使っている言語とタゴサクさんが使っている言語は、違うのかも知れない。