「どのようなことをって…………。汚きたないとか、臭くさいとか……」 本当に、自分はなんて心ない言葉を口にしたのだろうか。クリスティーナは九年前の自分の言動を振り返り、激しい後こう悔かいの念に襲おそわれる。「それは、確かにひどいですね」 流石さすがのフローラも顔を引きつらせていた。「そうね。今の私達だって汚いし……」 臭い、のだろうか? 自分ではよくわからないのだが、デュランはそう言っていた。もし臭いとしたら、リオはそんな自分達を嫌な顔せずここまで運んでくれたわけで……。 色々といたたまれなすぎる。「……ねえ、フローラ。今の私達、臭いのかしら?」 クリスティーナは思いきって妹に尋ねた。「え!? ど、どうでしょうか?」 突とつ然ぜんの質問に面食らうフローラ。しかし、森の中を歩いて汗あせは大量にかいたわけで、今もドレスが汗で張り付いていて、肌はだ触ざわりが気持ち悪い。だから――、「……か、嗅かいでみます」 フローラはドレスの裾すそをたぐり寄せて、真っ赤な顔ですんすんと鼻を動かした。「わ、私も……」 クリスティーナも思いきってドレスの裾をたぐり寄せる。はしたない真ま似ねだと思っていても、匂においを嗅ぐのを止めることはできなかった。もしも変な臭においがしていてリオに嗅がれていたらと想像すると、恥はずかしくてたまらないからだ。「じ、自分だとよくわからないですね」 しばらくして、フローラが顔を持ち上げて言った。「ええ……。お互いの臭いを嗅いでみる?」