「いっそのこと一日中2層の外周をぐるぐる走らせるか」「一周、31.4Kmですよ? いくらなんでもぐるぐるは無理なんじゃ……サイモンさん達なら平気かも知れませんが」「じゃあ、とりあえず一周を全力だ」「ふむふむ」「それでな……例えばDEXを伸ばしたいというヤツには、縫い針を1000本くらい用意して、それに糸を通させるとかどうだ?」「どうだって……それ、バカにされていると思われませんかね?」「10本くらいならそう思われるかも知れないが、1000本クラスなら大丈夫だと思うんだよ。あまりに作業が単純過ぎて、そのうち思考ができなくなるはずだ。ザ・修行って感じ、しないか?」「発想がブラックですよ、それ……っていうか、それ以前に実は何の効果もないとかバレたら殺されそうです」「プログラムを真似されたら、ものすごく笑える状況が生まれるな!」「先輩……」「AGIなら死ぬほど反復横跳びさせて、ザ・ニンジャの修行を応用した、とかどうだ?」「じゃあ、それの合間に、ヨガのポーズを取り入れましょう!」「ダンジョン内で、そのパワーを体に吸収させる! とか言ってな。いや待て、ジャパンならゼンだろう、ゼン」「先輩、先輩。青汁みたいなのを合間に補給させるというのはどうでしょう!」「ナイスだ、三好。効果がありそうっぽい」そうして俺達は、『恐怖の』ブートキャンプメニューを作り上げていった。某田中氏へしたお願いは、すっかり忘却の彼方だった。