「――はい……」 俺が雲母の家のインターフォンを鳴らすと、落ち込んだような声で雲母が返事をした。 らしくないな……。 俺はそう思いながらも、雲母に声を掛ける。「海斗だ、話がしたいから開けてほしい」「え!? 海斗!? ちょ、ちょっとだけ待って!」 雲母は慌てた声を出すと、ドタバタし始めた。 それから五分後――やっと雲母が出てきた。「待たせてごめんね……」「あぁ――いや、気にするな」 雲母が出てきて、何故彼女が中々出てこなかったのかわかった。 今の雲母の顔には、うっすらと涙の痕があり、目も若干赤い。 恐らくは、泣いていた事を俺にバレない様に必死に誤魔化そうとしていたのだろう。 ならば、そこに触れないのが優しさだ。「上がって」 雲母は俺に家の中に入る様に言ってきた。 だけど、女の子が一人暮らしをしている所に上がるべきではない。「外で話をしよう」「えぇ……でも……」 雲母はそう呟くと、自分の服装へと視線を向ける。 俺は雲母の顔に目線が言っていたせいで気づかなかったが、彼女はもう部屋着に着替えていた。 態々(わざわざ)着替えさすのは手間かもしれないが――やはり、家に入るわけにはいかない。「海斗は、そんなに私の家に入るのが嫌なの……?」 雲母は目をウルウルさせながら、俺の事を見上げてきた。「うっ……」「そんなに嫌がられると傷つくよ……」「わ、わかった! わかったからそんな顔をするな!」 悲しそうな表情をする雲母に負け、俺は頷いてしまった。 ……俺って、本当に意志が弱いよな……。「やった! じゃあ、上がって上がって!」 俺が了承した途端、雲母は明るく俺の手を引っ張ってきた。 ……さっきのは演技だったのか? ……いや、空元気か……。 雲母の声はいつもより高いし、手は若干震えている。 無理して明るくしようとしているのだろう。「それで話って?」 雲母は俺を先に座らせ、俺にくっつく様にして座ってからそう尋ねてきた。 本当なら振り払うべきなのだろうけど、無理して明るく振る舞っている雲母にそんな事はできなかった。「その前に二つ程聞きたい事がある。無粋な質問にはなるが、雲母の小遣いって実際どれくらいあるんだ? 誤魔化さずに教えて欲しい」 俺は失礼な質問だと自覚しながらも、雲母にそう尋ねた。 俺がとる策にはどうしても重要になる部分だからだ。