村を巡る「行けども行けども……」 荒野は続く。たまに草地はあるが、あまり林や森が無いな。 灌漑の技術が無いせいか、川から離れると畑作が大変なようだ。オマケに雨が余り降らないんじゃ乾燥するわけだ。 俺が住んでいる森から北は緑も多いという話なのだが、緑が多いと今度は魔物も多いらしい。 どっちが良いか? ――と人に聞いても、どっちもどっちという答えしか返ってこない。 俺の隣の助手席にはアネモネとプリムラさんが乗っているが、馬なしで動く車に乗って楽しそうだ。 その他の客は皆が荷台に乗っているが、街道沿いを走っているため道もそれなりに良い。荷台でも乗り心地もそんなに悪くはないだろう。 荷台からは笑い声も聞こえてくるから和気あいあいだ。 出発する前、討伐成功の報告をする為に獣人の1人に食料と水を持たせ街へ走らせた。 獣人の脚なら、ゆっくりと向かっても数時間で到着出来るだろう。 トラックのハンドルを握りながら代わり映えしない景色に飽きた。車載ラジオが付いているといっても放送が入るわけもない。 仕方なく歌を口ずさむ。 ――蘇州夜曲だ。「その歌は何という歌なのでしょう?」 助手席で俺の歌を聞いていたプリムラさんが曲名を聞いていた。「蘇州夜曲だよ」「いい歌ですねぇ。今度教えて下さい」「ああ」 日本語が通じるから歌も通じるってわけだ。 それからしばらく街道沿いにトラックを走らせ村々を巡る。 村の場所を知っている連中の話を統合して、なるべく無駄が出ないように、一筆書きで回れるようにコースを決めた。 すれ違う人々もトラックには驚くのだが、俺が召喚した魔法で動く召喚獣だと言うと納得してくれる。 言い訳に使う魔法という言葉が最強過ぎだな。 とりあえず説明が付かない事は魔法だと言えば信じてもらえるのだが、本当に信じているのかは少々疑問が残る。 それでも、この世界には実際に魔法で光るライトや、魔法で動く小物もあるらしいので、まんざら的外れでもないらしい。 まぁ、魔法を使う爺さんにはバレバレみたいだが、詳しいツッコミはしないでくれているので非常に助かる。