「婆さん、そのアルメリアって魔導師に会ったことがあるのかい?」「チラリと見かけた事はあったねぇ――確かに、あの娘と同じ黒い髪だったが、何か証拠はあるのかい?」「いや、全くない。俺と初めて会った時も、何も持ってなかったし」「それじゃ、ちょっと難しいかね、大体あの娘がそれを望んでいるのかい?」「いや、全く興味がないようだ」 婆さんは何を思っているのか、俺の方を眺めてニヤニヤしている。「まぁねぇ、女にとって大事なのは、目の前にいる男だからねぇ」「男って、親程歳の離れたオッサンだぞ?」「歳なんて関係ないさ」 婆さんが、ヒャヒャと笑うのだが、そんなものなのだろうか? とりあえず、婆さんに魔導書の登録を頼んだ。1週間程掛かるらしい。「これを、あの娘に持って行ってあげな」 婆さんが、一冊の本を持ってきた。「何の本だ?」「簡単な生活魔法の本だよ。これは魔導書じゃないから、使うには訓練が必要だとは思うけど、あの子なら使いこなせるだろうさ」「おおっ! 恩に着るよ」 婆さんから本をもらい、追加で虫除けの魔石を買うと、道具屋を出た。 ギルドで肉が出来るのも夕方だ。いっぺん家に帰るか……。