とりあえず、重症患者の傷を数人魔法で治したあたりで、めまいがしてきた。貧血になったように体がフラフラしてくる。そのことにいち早く気づいたコウお母さんが、私を抱えながら、布で新しく仕切りを作ってもらった奥の部屋に連れて行ってもらった。部屋と言っても、土の床に布を敷いたような簡素なものだけれど。私はその布の上で寝かせてもらう。「大丈夫?」仕切りの外には聞こえないように、小さな声でそう声をかけてくれた「大丈夫です。体はだるいですけど……。別に、熱があるわけでもなさそうですし、ただ、なんだかすごく、お腹すきました」「そう、じゃあ、何か食べるものとってくるわ」そう言って、布のしきりをめくったところで、コウお母さんは、立ち止まった。仕切りの先を見てみると、セキさんが立っている。