「!?」 初手、《龍馬体術》によるダッシュパンチ。 準備完了後すぐさま発動、間合いギリギリまで接近し、パンチ発動時に地面を殴りつける。 すると、体は宙へ浮く。そして慣性のまま空中を移動。「なっ、あっ……!」 ダビドフは慌てて《角行体術》の準備を始めた。角行の回し蹴りで弾こうという狙いか。 甘い。予想より速い間合い詰めに戸惑っているのがバレバレだ。それに角行では受けの手として弱すぎる。ここは強気に龍王でよかった。「そんなことが!!」 ナイスリアクション。 三手目、俺は空中で再び《龍馬体術》を準備しながら、ダビドフの頭上をそのまま飛び越えた。 彼の後方に着地、同時に《龍馬体術》を発動する。 ダッシュパンチの加速がえげつない。ダビドフはなんとか振り返り《角行体術》の回し蹴りを繰り出したが……まさか俺がまた龍馬だとは思いもしなかったのだろう。「ゲッ」という顔をしながらも、もはや止められない右足をそのまま振り抜いた。「 」 俺の拳とダビドフの足がぶつかり合った瞬間、あまりの衝撃に空気が振動する。 龍馬と角行、どちらも非常に強力な攻撃だが、威力の差は明らか。 ダビドフは攻撃をモロに崩されて、声にならない声をあげつつ後方へとすっ飛び、勢い余って地面を三回転した。「大将さんによろしく」 普段は歩いて近付き、いくつかの言葉を交わしてからトドメと行くところだが、今回は「全力で」というリクエストなので、そんな甘えたことはしない。 俺は龍馬後の硬直が解け次第、全力疾走で距離を詰め、有効範囲に入った段階で《角行体術》を準備、すぐさま発動した。 体を捻って縦方向に回し蹴りを放つことで、宙返り、つまりサマーソルトキックのような華麗な技をキメられる。 これは“魅せ技”であるとともに、相手からの相殺を対策した技でもあり、地味に大事な技術だ。 つまりは、手を抜いてないってことですよ。おわかり?「――それまで! 勝者、セカンド・ファーステスト!」 案の定すぐに終わってしまったが、約束を破るわけにはいかない。 ただ「サマソ」のおかげか、観客はかなり湧いているようだ。 よかったよかった。