「アズール殿は、リョウ様と一緒にこのまま旅立たれると伺ったのですが、間違いないですかな?」「そのつもりであります」「それは素晴らしい! 素晴らしいことでございますぞ! それで頼みといいますのは、なんといいますやら……。ご存知の通り、今屋敷にいる騎士達は、見習い。近所の村々より希望があった者たちを取り立てたような形でありまして、文字は読めますが、書く事はあまり得意ではないのです」「さようでしたか」 なんとか相槌を打つが彼の話の意図がまったく見えない。 それにしても、見習いとはいえ、文字を書く事は出来なくても読むことができるというのは、すごいことだと思う。 ルビーフォルン邸の使用人は優秀な人が多いのだなぁ、とぼんやり考えていたら、タゴサク殿が、机の引き出しから、紙の束とインク瓶を取り出した。