「うん。お兄ちゃんも、探して」
「分かった、一緒に探そう……」
高岡は犬を探すフリをしてM子の後ろをつけた。
「いぬさーん、でておいでー……」
そしてM子が敷地の奥に入り込んだのを見計らって、羽交い絞めにし……。
「きゃぁっ……」
M子を拘束し、廃屋の中に無理矢理引きずり込んだ。
時間にすれば、わずか2秒足らずの出来事だった。
「ぁ、ぁぐぁっ……」
「静かにしろ」
高岡はじたばたするM子の体を抱き締めて抑え、その頬に自らの頬を寄せ、冷酷
に言い放つ。
M子のランドセルには入学時に学校から配られた防犯ベルが取り付けられていた。
が、小学校に入学したての1年生の女の子が、こんな時にそれを冷静に使えるる
筈も無い。
「や、やだ、たすげでっ……」
M子は顔面蒼白で口が半開きになったまま、がくがくと足を震わせる。
「ま、まま、ままぁ……」
「静かにしろって、言ってるだろ! 殺されたいのか? ああ?」
高岡はそう言いながら、M子の首を締め上げた。
「が、はっ、ゃ……」