「んじゃ、早速」ウェンディからブローチを受け取って両の手をウェンディのお胸様に近づける。錬金室でおっぱじめるわけにはいかないので、触らないように気をつけるが触れてしまうのは仕方ないだろう。うん。仕方ないはずだ。そしてウェンディのブローチをつけるために服を少し引っ張る。その際に今まで感じたことのないような柔らかいふわっとした感触が指先に走った。ああ、ここが俺の桃源郷か。桃の源とはまた上手いことを言うな。とても桃サイズの果実ではないのだが。その感触をいつまでも味わっていたいのだが何事にも終わりはあるものだ。ブローチをつける間など、ほんの一瞬、僅かな時間でしかないのである。つけ終わってしまい名残惜しみながら手を離すと、一歩下がって全体を見てみる。薄いピンク色の髪と同系色のローズクォーツが、淡い色合いながらも存在感を露わにしており美しく映えている。だがそれに負けないくらいウェンディも美しく、お互いを引き立てあっているようだ。「如何でしょうか?」「すごく似合ってる。綺麗だよ」「ん。ウェンディとても綺麗」「ありがとうございます。大切に、大切にしますね」ウェンディは頬を少し赤くして最高の笑顔でお礼を言ってくれた。ああ、今回この笑顔が見られただけで頑張って良かったなと十分に思える。それくらい彼女の幸せそうな笑顔は眩しかった。ひとまずこれで二章が終わりです。