自分の分析に、レイカがゲッソリとした表情で返答を返してくる。
「今日はとにかくこの砦に慣れることが最優先だから進む理由はないし……引き返すということでいいよね、みんな?」
ライツの意見に全員が頷く。ここまで歩いてきた道をこのまま引き返し、その時に出てきたゴブリンやオークを倒していけばスネーク・ソードのスキルレベルもあと少しは上がってくれるだろう。 実際、砦の外に出るまでに二ほどレベルが上がってくれた。ついでにスネーク・ソードの新しいアーツ〈ポイズンスネーク〉を習得した。アーツの説明文には、スネーク・ソードが地を這うように動き、相手の下半身に毒を打ち込むとある。
帰る途中にでてきたゴブリンたちに対して実際にアーツを使ってみたところ、スネーク・ソードがうねうねと蛇のように動きながら相手に迫り、先端がゴブリンの足や股間に突き刺さる。どう考えても股間はやりすぎだと思うのだが。 股間に突き刺さった光景を見たガイが心なしか青ざめていたが……その気持ちはよく分かる、同じ男として切実に。肝心の毒の強さは大したことが無いようで、毒ダメージで殺す事はできそうにない。スキルレベルが上がれば、毒の強さも上がるのかどうか……それは今後確かめていくことにする。
「お疲れ様」
「おつかれ~」
その後は変なトラブルもなく、無事に砦の外に出てこれた。このPTとの臨時はかなり有益な時間を過ごすことが出来たと言っていい。スネーク・ソードの感触をよりはっきりと掴む事ができたのだから。
「では、自分はこれで失礼するよ。縁があった時はまた宜しく」
「はい、その時はまたお願いします」
最後にライツと握手をしてからPTを抜けて街を目指す。街に帰る途中で襲ってくるゴブリンは、もちろんスネーク・ソードの練習を兼ねて倒していく。砦に入る前よりも明らかにスネーク・ソードを上手く動かせるようになっているのを感じる。ダンジョン内という特定の場所で武器を振るい続けた分、プレイヤースキルという意味でもレベルが向上したのかもしれない。スネーク・ソードを握る右手から伝わってくる感覚も、変な表現となるが不思議と心地よさを感じる。この時点でやっとこのスネーク・ソードの主となれたのかもしれない……。
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