……こんな風に言うと、なんだか自慢してるみたいで文句言われそうだな……。 でも、俺としてはテストの点数に興味がないし、他のテストはやっぱり平均点くらいだったため、一般生徒からすると、もっと頑張れよって感じだろうな……。 ただ、俺は咲姫に勝てさえすればそれでいい。「どっちから先にテスト結果を出す?」 俺が咲姫にそう聞くと、咲姫がキョトンとして首を傾かしげた。「その言い方だと自信あるの? じゃあ、海君の一番良かった教科って何かな?」「数学だな」「ふふ、そうなんだ」 俺が数学の点数が一番良かったと言うと、咲姫がニコニコ笑顔で笑った。 どうやらまるで負けるとは思っていないようだ。 まぁその余裕な表情を、今から変えてやるんだがな。「ほら、俺の負けは絶対ないぞ?」 俺は自分の学生鞄に入れてあった、数学のテスト用紙を咲姫に見せる。 咲姫はすぐに点数が書かれている部分に視線を移す。 そして俺の点数を見た瞬間、ビックリした表情になった。「え!? なんで百点!? 嘘でしょ!?」「はは、俺の事を甘く見過ぎたな」 咲姫があまりにも驚いていたので、俺は調子に乗ってそんな事を言ってみた。「ちょっと海君! いくら負けたくないからって、カンニングは駄目だよ! 狡い人だとは思ってたけど、そこまで狡いとは思わなかった!」「なんでだよ!? というかお前、俺の事狡い奴だと思ってたのか!?」 俺が百点取ったらカンニングって、どれだけ俺の事を馬鹿にしてるんだよ! しかも狡いと思ってたってなんだよ! ……ごめん、そういう自覚は確かにあるわ……。 俺結構予防線とか張るしな……。「だって海君が百点っておかしいもん! 絶対カンニングしたとしか思えない! それと狡いと思ってるっていうのは口が滑ったから、聞かなかったことにしてください!」「そう思うなら、数学担当教師に聞いてみろ! 今までの俺の点数がほとんど百点だった事を教えてくれるから! それに聞かなかった事に出来るか!」「……まぁ、そこまで言うなら信じるよ……」 俺が強めに言うと、咲姫は渋々と言った感じで頷いた。 てかこいつ、俺が聞かなかったことにしないと言ったら、スルーしやがった……。 口が滑ったってなんだよ……。「まぁでも、海君の負けに変わりないけどね?」 咲姫は自分の鞄に手を入れると、勝ち誇った笑みを浮かべてそんな事を言ってきた。 何故そうなる? 俺が百点だった以上、もう後は引き分けか咲姫の負けしかないはずだが? 「はい、残念ながら私も百点だったのです!」 咲姫は笑顔でそう言いながら、俺の顔を覗きこんでくる。