闘神位戦とは、リーチの短い攻撃同士の勝負。常に近距離でぶつけ合うためスキル発動のタイミングは被りやすいうえ、パンチやキックはなかなかに軌道を読まれやすい。ゆえに、如何に相殺を狙い、相殺させないかを考える勝負へと発展していく。 金剛戦でのドワーフたちに対して俺が指摘した通りのことが、今のキュベロの《銀将体術》にも言えるのだ。「相殺させない工夫が足りない」と。 そして、銀将後の硬直と、歩兵後の硬直とでは、後者の方が短い。「ぶふっ!」 キュベロの顔面に俺の《歩兵体術》がめり込んだ。 すかさず《桂馬体術》による飛び蹴りで追撃。キュベロは《歩兵体術》で受けようとしたが、残念だ、それだと桂馬に火力負けしてしまう。 ミシッ……と、完全に入った感触があった。 思った通り、クリティカルヒット発動と同時にキュベロは大きく弾き飛ばされ、地面にダウンする。 最後の一手、俺の《龍王体術》を回避するすべは、もう、ない。「次が楽しみだ」「……ええ、全く、です……!」 まだまだ先があるんだ。まだまだ育成できる。 相殺対策を覚えて、相殺を覚えて、それから、それから……。 なあ、楽しみだろう? キュベロ。 メヴィオンって、すげえ面白いんだよ。 ああ、こんなに楽しいことはないさ。「――それまで! 勝者、セカンド・ファーステスト!」