これ以上自分のプライドを傷つけられたくないだけかもしれない。すっごく臆病チキンになっている俺。 変革期へんかくきプライドチキン。今の俺は犬どころか誰も食わないくらい不味まずそう。『だから俺は、佳世と池谷に泣かされた琴音を慰めるために、琴音のそばにいることに決めた』 ──あの時、佳世に向けた言葉は、いったい誰を納得させるつもりで言ったんだろうか。 無言で悩みこむ俺を、ナポリたんは昼休みが終わるまで、隣で見守っていてくれた。 ―・―・―・―・―・―・― ナポリたんは、週末に店を臨時休業にして家族旅行をするとのことで、放課後を迎えて早々に帰宅した。今日の夜から出発するらしい。 俺はといえば、琴音ちゃんといつものように一緒に下校しつつも、ナポリたんに言われたことが引っかかって。 日曜に遊ぶ計画を今晩にでも立てようと、少しだけぎこちなく、それでも必死に話し合ってから、なんとか帰宅した。 そして、その日の夜。 これからおそらく両家の黒歴史として一生語り継がれるであろう、茶番劇が起きることとなる。