うわ、交互に食べあうなんて仲がいいなぁ。 彼女は面倒見が良いらしく、溢れた粥は親指で拭いてあげている。ちゅぷりと指を舐める光景には思わず頬が熱くなった。 その様子を見て、ふむと頷いてから声をかける。「おふたりはご結婚されているのですか?」 ぶう!とゼラは茶を吹き出し、ドゥーラは匙を咥えたままギシリと凍りついた。 あれ、違ったのかな。てっきりそういう関係かと思っていたのに。などと思い、マリーと見つめ合ってしまう。「と、突然なにを言って……!」 慌てる様子のゼラだが赤い顔をしながらも口端をニヤニヤとさせており、まんざらでも無さそうだ。それを見つめるドゥーラも、頬を赤くさせモゴモゴと粥を食む。そして、ちらりと彼を見上げる瞳には、驚くほどの色気を含んでいた。 じいと見つめあう彼らは、見ているこちらが気恥ずかしい。 困ったねとマリーへ視線を向けると、匙を咥えていた彼女も頬を赤く染めている。少しだけ悩む素振りを見せ、唇からそれを抜くと粥、そして角煮をすくった。「は、はい、食べて」 とろりとした光沢のある雑炊を近づけられ、ぼっと頬が熱くなるのはどうしようもない。いや嬉しい、嬉しいけど恥ずかしい。それが伝染したように、みるみるマリーの顔も真っ赤になる。「は、早くして。恥ずかしい、から……っ」 泣きそうな顔の可愛らしさといったら。 慌ててもぐりと食べたものの……うん、もうこれは味なんて分からないね。義務感で「美味しい」と伝えると、花が咲くような笑顔をマリーは浮かべた。 とはいえ、ガツガツと喰らい続けるウリドラは、瞳を天井へと向けていた。左右から発せられている熱気によって眉は歪み、美味いことに違いないのだが味さえも変化する錯覚を覚えてしまう。「甘いのう、砂糖をぶっかけたみたいじゃあ……」 ぽつりとそんな事を言ったのだが、聞いてくれる人はいなかった。 人知れず、ウリドラはひっそりと涙した。