何をするのかなと思っていると、僕の肩を掴んでいた指を離し、そのままウリドラに向かって宙を泳いでゆく。衣服や髪はふわふわと漂い、まるで重力の影響をまったく受けていないように見える。 そして、そのまま黒髪美女へすぽりと彼女は入り込んだ。「…………」 むくりと起き上がるウリドラに、僕は少しだけ驚かされた。 寝ぼけまなこをこすり、それから大きなあくびをしてからこちらを見上げてくる。指でVサインを作っているのは、ミッション成功という意味なのかな。「おっと! ああ、なるほど、意識が無ければ憑依をして動かせるのか。これなら楽に布団へ運べるし助かるよ」 えへん、という得意げな顔で豊満な胸を反らされたけれど、身体はウリドラのものだ。そういう愛嬌のある表情をされるとアレだね、背中がむずりとさせられるね。 とはいえお酒は身体に残っているらしく、よたよたと鈍重そうな動きでもある。前後に何度か身体を揺らし、どうにか身を起こすとこちらへお尻を向けた四つんばいで布団へと這ってゆく。「じゃあ僕はマリーを連れていこうか。ほら、マリー、そろそろ眠る時間ですよ」「……ふぁい」 声をかけると、とろんとした瞳を少しだけ開く。眠りにつく一歩手前、いや半分以上はすでに眠っているのか。 たびたび抱き上げていたので彼女も慣れてきたのかもしれない。顎を肩へ乗せると、目を閉じたまま彼女から抱きつかれ、同じよう顎を乗せてくる。お酒の影響か、はたまた眠気のせいか、ぬくぬくの身体から密着されて心地よい。 彼女の浴衣もやや乱れており、普段であれば決して見せない姿だと思う。なだらかな鎖骨が覗いているのを眺めつつ、背中とお尻を支えてから「よいしょ」と横支えに持ち上げる。 うーん、抱き心地が良い。すべすべの頬に触れ、柔らかい身体で抱きついてくるものだから、こちらにまで眠気が移ってきそうだ。 後でこちら側の電気を落としに戻るとして、まずは布団に運ばなければ。 そのまま寝室へ向かって歩き出すと、這っていたシャーリーもようやく布団へ辿り着いた。どしゃりと上半身を布団へと預けて、それから肌触りの良い寝具へともぐりこんでゆく。膝立ちでお尻だけ布団から出しているものだから、ついつい視線を吸い寄せられそうだけど……男なら我慢だ。 寝室には二組の布団が用意されているけれど、皆と一緒に夢の世界へ行くのだから今夜使うのは片方だけで良い。なので、もぞもぞ動いているシャーリー側へと近づき、それから畳に膝を立てる。 落としたら大変なので、少女をしっかり抱き支えたまま布団へと慎重に下ろしてゆく。