「うーむ、そういうことなら入っても構わないのは構わないのだが……役割としては何をして欲しいんだ? 魔法攻撃や回復役だったらスキルの関係上絶対に自分には担当できないのだが……」
そう、自分では擬似的な前衛が精一杯だ(念のためだが、頼ることを自分自身で禁じるために、弓は装備を外してアイテムボックスの中に入っている)。それなのに魔法での攻撃や回復役を希望された場合は断るしか無い。出来ないことははっきり出来ないと言わないとトラブルの元になるだけなのだから。
「はい、やってほしいのはアタッカーです。剣をお持ちのようですし、前衛を務めてもらえれば……タンカー役はこいつがやりますから、きつい時は後ろに隠れてくれて構いませんから」
そう言って指差された男性プレイヤーは、フルプレートの大きな盾を持っていた。なるほど、アタッカー役ならば何とかなりそうだ。
「了解、それならば何とかやれる。PTの連携がわからないから最初は様子見をしながら戦うことになるが、よろしく」
「はい、臨時ですがよろしくお願いします」
向こうのPTリーダーと握手を交わして、浮かび上がってきたPT加入要望のYESキーを押してPTに加入する。
「じゃ、六人PTになったから入るよ。今日はクリアすることが目的じゃない、中の様子になれることが目的だから、無理せずゆっくり進むからね」
ふむ、このPTは慎重にやる方なのか? もう各種情報があるのだから最短コースで……という考えが多い中、珍しいPTだな。そうして砦の扉を開き、ゆっくりと中にはいる。さて、以前は弓攻撃で立ちまわった場所だが蹴りとスネーク・ソード中心の立ち回りとなるとどこまで変わるか……気を引き締めて行こうか。
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