この本は面白かった。ここんとこ経済書ばかり読んでいたから、いい気分転換になった。もちろん経済書は経済書で面白いけど、さすがにそればかり読んでいると「もう効用とか地代は見たくないよ〜」といささか食傷気味になる。そんな時、哲学書を間に挟むのはいい。両者は本の質が全然違う。明快さが売りの経済書と違って、哲学書は粘着気質なものが多い。中でもこの『消費社会の神話と構造』は、知的な粘性強めの、かなり面倒くさい本だった。でもそれが、かえって良かった。知性の塊みたいなボードリヤールが暗あん喩ゆ的に次々と投げかけてくるフレーズを解読する作業は、とても〝苦し楽し〞かった。