ただ、当のリョウ殿本人は、盲信しているようなルビーフォルン伯爵邸の人々を煙たがっているところもあるようで、 たまに、コウキ殿に甘えては、愚痴をこぼしている。その様子がすごく可愛らしくて、私はとても好きだった。 中でも、タゴサク殿という方がリョウ殿の天敵であるらしく、彼が現れるたびにリョウ殿はかすかに嫌そうな顔をする。 確かに、タゴサク殿の盲信ぶりと来たら本当に古の神様を前にしたときのような態度なのだ。 リョウ殿と一緒に、ルビーフォルン領の様子を見るため、出発の準備をしていると、そのタゴサク殿が、自分もリョウ殿と一緒に領内を回ると言い始め、リョウ殿がそれを止めた。 私はコウキ殿から、落ち込んでいるタゴサク殿を部屋まで送り届ける任務をもらって、なんだか元気のないタゴサク殿の背中を押しながら彼の部屋まで誘導する。 タゴサク殿、背中を丸めてトボトボと歩く姿がかわいそうにも思える……。なんとか部屋までお送りすると、突然タゴサク殿がバッと顔をあげて私の顔を見た。