「あなたぁ、今、わたし、妊娠、しちゃったぁ」 そう、この瞬間、私は四人目を孕んだことに確信を抱いていた。 今、私は新しい命を再び産む権利を得たのだと。また一年近い期間を大家さんのような素晴らしい男性の子を胎内で育て、出産の激しい痛みさえも幸福な記憶として記憶に刻みこみ、愛する夫と共に子供を育てることができる。「ああ、嬉しいよ。志乃」 夫が優しく私の手を握り返してくれる。 だから、夫の手の温かさや大きな愛情に、ほんの一瞬、何故か胸の奥で痛みを感じてしまったのはきっと気のせいだと思う。 そう、だって大家さんに妊娠させられるなんて、女にとって最高に幸せなことなどないのだから。 だから、気にもならない程度の小さな痛みなんて気にすることもなく愛する夫に甘える。まるで結婚前の恋人時代にプレゼントをおねだりするかのように……。「ね、あなた」「なんだい?」「私、あと三人は欲しいな」 夫は私の言葉に戸惑いも見せずすぐに返事を返してくれた。「ああ、三人と言わず、もっともっと産んでもいいよ。僕も子育てがんばるからさ」 ああ、私はこの人と結婚できて本当に幸せ。