ぼんやりと、ギディオン副団長とパティ副団長補佐のやりとりを眺めていると、気付いた副団長に勢いよく怒鳴られた。「お前、団の機密事項を盗み聞いているんじゃあねぇよ! どっか、行け!!」「失礼いたしました!」……わぁ、これは、正式に帰寮のお許しが出たってことで、いいのかしら?急ぎの仕事はないってことだったし、今はざわついているみたいだから、ここにいて機密事項とかをうっかり聞いてしまうのはよくないわよね。うん、これは帰寮のお許しだわ。まだ勤務時間内の気はしたが、これ幸いと寮に帰ることにする。同室のオルガが戻ってくる前にやりたいことがあったのだ。途中、食堂に寄ると、バケツ一杯のお湯をもらってくる。そして、バケツの中にザビリアが狩った2羽の鳥型の魔物をしばらく入れて置いた。ザビリアは、まだ眠っているようだったので、動かさずに団服の中に入れたままにしておく。バケツのお湯がぬるくなってきたので、鳥型の魔物を取り出すと、部屋を散らかさないように気を付けながら、その羽をむしっていった。お湯につけていたことで、簡単に羽が外れていく。必要なだけ羽をむしると、バケツのお湯を捨て、魔物をその中に入れた。よしよし、後は、この羽を洗って、乾かして、と。お肉は使わないから、食堂にでも寄付すればいいかな。乾燥したタオルで何度も羽を包むようにしてぽんぽんと叩き、水気を取っていく。羽が渇くと、青い布を取り出し、その上に魔物の羽を縫い付けていった。ザビリアが身動きしたのは、太陽が地平線に沈みかける時間だった。「昔の夢を見た……」そう、ぼんやりした顔でつぶやくザビリアを見て、ふふっと思わず笑ってしまった。「もう、ザビリアったら。0歳の昔っていつよ?」私は得意げな顔をしながら、隠し持っていたものをザビリアの前に取り出す。「じゃじゃ――ん! ザビリア専用の変身グッズで――す!!」それは、布に青い鳥型の魔物であるブルーダブの羽を大量に縫い付けたものだった。ザビリアは、よほど嬉しかったのか、しばらくの間、絶句していた。そして、茫然とした声でつぶやく。「フィーア、まさかとは思うけど、僕をブルーダブに擬態させようとしているんじゃないだろうね?」「さすが、ザビリア! 正解よ」ザビリアは何か言いたそうな表情をしていたけど、黙ることに決めたようで、私の膝の上で翼を広げた。「どうぞ、フィーア。僕をブルーダブに変身させて」私は、丁寧にザビリアを変身させていった。首の下とかお腹の下には紐があって結ぶようになっているけど、その上から羽が被さるような造りにしているので、紐は見えなくなるはずだ。くちばしもきちんと付けた。完成したザビリアを眺めると、私は満足気なため息をついた。「完璧よ、ザビリア! もう、全く黒い色が見えないし、ブルーダブそのものだわ!」「うん、僕の視界は不良で、よく見えないけど、それはいいのかな?」「ああ――、2羽分の羽を使っているからね。通常のブルーダブよりもこもこしているのよ。ふふ、豪華でよくない?」「うん、ブルーダブに見えるかどうかに主眼を置くべきだと思うけど。でも、僕を豪華にしてくれて、ありがとう。嬉しいよ」