遅れて俺の耳に、何かが潰れるような音か聞こえ、背中から地面に落ちたエンカイは、何度かバウンドした後動かなくなった。その瞬間、雲海の向こうに沈んだ太陽の、最後の残照が静かに消えて、エンカイの体が黒い光に還元された。「太陽神の死と夜の訪れって、なかなか詩的なシチュエーションですね」息を荒げる俺の元へ、三好が3頭の僕しもべを引き連れて近づいてきた。どうやら、アイスレムは助かったらしい。ポーションを振りかけていたもんな。「それって、明日の朝になったら復活するってことか?」俺はエンカイが消えた地面を見つめながらそう言った。「神話あるあるですよね」と三好は力なく笑った。まったくもって冗談じゃない。俺達はエンカイのドロップらしきものを集めると、ざっと山頂を調べてから、自衛隊が作成したマップに従って、すばやく頂上を後にした。