桜が芽吹き始める季節。まだ少し肌寒 い夜… あなたと私の距離は程遠くて、受話器 から聞こえる声にもどかしさを覚えず にはいられなかった。 耳を擽るようなあなたの笑い声がとて も心地よくて、思わずこっちまでつら れて笑ってしまう。話せるだけで充分 だったのに、笑ってくれるんだからこ の上ない。至福の時間だった。 やがて言葉だけではどうにもならない 思いが次第に募って...不安を煽る。や がて「触れられない距離」が現実を見 せる。どうしようもない。ついに口か ら出た言葉は2人の距離を一層と深め てしまった…