第4Rはまさに殴り合いといった様相を呈していた。まったくガードをしなくなった夕姫の顔面に、僕のパンチが面白いようにヒットする。同じく夕姫のパンチも僕を打ち抜いていく。まさに我慢比べといった感じでガードを捨てた殴り合いがリングの上で繰り広げられていた。 僕はクリーンヒットを避けるために微妙にパンチの視点をずらして殴られているが、やはり痛い急速に顔が腫れていくのが分かる。でも負けたくないという気持ちが僕を突き動かす。男として女の子に殴り負けるのは嫌だが、ダメージの蓄積量から言えば僕の方が断然不利となる。だが、パンチの視点をずらして極力クリーンヒットを避けている僕に対して、夕姫はそのまま喰らっているようにも見え、遂にはこちらが殴り勝って一方的に殴るようになっていた。 そうなると流石の夕姫も防御を固めずにはいられない。彼女は腕を上げガードを固めるが、そこに嘗ての鉄壁と言われた彼女のガードは無かった。(夕ちゃんボディががら空きだよ!)僕は身をかがめつつ一気に夕姫の懐に飛び込むと、渾身の右ボディアッパーを彼女の鳩尾に叩き込んだのだった……。