だって、顔が、本当に辛そうなんだもん。「サロメさん、もし他に相談にしたいことがあるなら、聞きますよ! 力になれるかわかりませんが、できる限りのことはします。私は、サロメさんのこと、友達だって思ってますから!」 私がそう言うと、サロメ嬢は目を見開いて、驚いた顔をした。 そして少し逡巡するように視線を下に向けると、改めて私に視線を合わせてきた。 いつも余裕のある大人っぽいサロメ嬢の瞳が、心細そうに揺れていた。「ありがとう、リョウさん。私も、あなたのこと友達だと思ってる。……本当に私、あなたに、甘えてもいい?」「もちろんですよ!」 むしろどんどん来てほしいよ! 私が力強く答えると、サロメ嬢は頷いて、意を決したように口を開いた。「あなたに、言っておきたいことがある。グエンナーシスのこと……」 その声はひどく小さくて、そして暗かった。「できれば、今から私が話すことは誰にも言わないで欲しい。特に、王国側には絶対に知られたくない。もし知られたら、カテリーナの身が危険に陥る、そういう内容なのよ」 サロメ嬢がそう言って私と目を合わせた。 カテリーナ嬢の身が危険になるような、王国に知られたくない内容ということは、きっと、グエンナーシスの今の状況のこと、だよね。 私が少しばかり息を飲んでいると、サロメ嬢がわずかに微笑んだ。「……なんてね。私の目的のために一方的に話すのに、そんなお願いするなんて、わがままよね。きっと私はグエンナーシス領にとっては裏切り者。でも、あなたには知ってもらいたい。カテリーナを、守るために」 そう打ち明けたサロメ嬢の瞳には覚悟があった。 私は頷いてその覚悟を受け取る。 私だって、カテリーナ嬢のことを守りたい。 私にできることがあるならば。「誰にも言いません。もし誰かに言ったとしても、それはカテリーナ様やサロメさんのためになるって思った時だけです。約束します」 私がそういうと、サロメ嬢は頷いて重い口を開いた。 そして、「リョウさん、驚かないで聞いてね」と、切り出したサロメ嬢は、混乱を極めるグエンナーシス領の現状についてを話してくれた。