目が覚めるとそこは見慣れた天井だった。そのことで守は自分が負けたことを悟る。ただ自分が如何やって負けたのかは覚えていないが……。 これで夕姫が真こっちと言う奴のもとに行ってしまうのかと思うと少し悔しい気持ちもあるが、これも全力でぶつかった結果だと自分に言い聞かせつつも、ここで毎度起こっていることを思い出して感傷に浸っている場合ではないと守は慌ててベッドから飛び起きる。 何で何時も素っ裸なんだと思いつつの下着を穿き終え、次の衣服に手を伸ばした。「ま~も~る~く~ん」 「ヒッ!」背後から掛けられた声に守が小さく悲鳴を上げ動きを止める。そして恐る恐る振り返ると、カーテンの隙間から不気味な笑みをたたえたアン先生の顔が半分見えた。「ヒィィィ!!」守は恐怖に顔を引きつらせて悲鳴を上げる。「あ~、ひっどーい。そんなに怖がるなんて、先生傷ついちゃう」カーテンをかき分けベットルームに入ってきたアンは、白衣の下はボディコン衣装と言う相変わらずの格好で守に近づき、そして誘惑するような眼で彼を見つめ話しかけてくる。「今日は、守君が男になった日だよね」 「な、なんですかそれは!?」この全身フェロモン女医の言葉の意味が分からず守は困惑する。アンは人差し指で顔に似合わず鍛え上げられた守の身体をなぞりだす。胸板から腹筋をなぞり、そして下腹部から更にその下に行こうとしたとき危険を感じた守は女医から離れ、逃げ出した少年を面白がりつつ言葉を続ける。「え、覚えてないの。試合後の君のトランクスの中がどうなっていたか?」「トランクスの中」と言う言葉に、守は試合中に勃起してしまった事を思い出し、恥ずかしさといたたまれなさで思わず荷物をかき集めると医務室を飛び出す。「僕は何も知りませーン!!」