障壁画の制作について、江戸時代の画家狩里子永納(1631-97)はその著書『本朝画史』でこう述べている。(1)城郭御殿で多様化した生活空間に画題や技法を合わせて整合的にとらえる。(2)私的な場所では山水を水墨で描き、公式の場所では人物を彩色で描く。(3)人が多く集まる大広聞には花鳥を、廊下など庇の問には走獣などを、濃彩で華やかに描く。(4)その他の屏風や衝立では、山水、人物、花鳥などを、四季を意識して構成すべきである。障壁画は住宅の空間を広く見せる役割と、空間にまとまりを与える役割を持っている。特に襖絵は、空間を分割する効果を担っていた。