「……一人で来る、と書いてあったと思うが?」「それについては謝罪するわ。ちょっと貴方と話がしたい、といって聞かなかったから。まぁ彼女の話は本題の後ってことでお願いできないかしら?」 知るか、といつものゲオルなら切って捨てるだろう。ゲオルはメリサのことを好ましく思っていない。加えて言うのなら向こうは約束を破った形になるのだ。ならばそれに応じる必要など、本来はない。 が、しかし向こうがこちらの欲しいものを持っていることからして、今は多少の我が儘を抑える必要があった。「……さっさと用件を済ませろ」「了解したわ」 そう言ってアンナは懐から一枚の羊皮紙を取り出す。丸まったそれを受け取るとゲオルはその場で開いた。それは地図であり、ある特定の部分に×印と名前らしきものが書かれてある。それは『六体の怪物』の名前だった。「それがアタシ達が掴んでいる『六体の怪物』の居場所の情報。とは言っても、既に緑のシュバインは倒してるから、後は二体しかないけど」「ゲーゲラに印はないようだが?」「この街はたまたま見つけたようなものだからね。そもそも、正体が分からなかったから、本当に『六体の怪物』なのかって疑問もあったのよ。まぁそんなの言い訳にしかならないけど」 苦笑しながら言うアンナ。 そんな彼女にゲオルは疑問に思っていたことを口にする。「貴様がこれを渡す理由は何だ?」