気がつくとそこは医務室だった。 多分冒険者ギルドの医務室だろう。 ギルドに来たのは朝早い時間の筈だったが、窓からのぞく夕日は真っ赤な色を帯びていた。 足を折ってからかなりの時間が経過していたみたいだ。 俺がシステムちゃんに頼んだ予定通り半日気絶していたらしい。 システムちゃんと話をして大体の経過を知った。 ギルドの僧侶がやって来て怪我の治療をし、この医務室に運んで来て外傷の治療を魔法で行い、それからずっとベッドの上に横になっていたようだ。 治った筈なのに起きない俺を見てリリィさんが大混乱したそうだ。 石川、長野さん、香川ちゃんの三名はついさっきまでこの部屋で看病しててくれたみたいだけど、もう日が暮れる時間なので今はモヒカンマッチョに連れられて大神殿へと戻って行ったようだ。 部屋にはリリィさんだけがいた。 俺が目を覚ますと俺のベッド横に座って看病していたリリィが立ち上がる。 心配そうな顔が笑顔に変わったと思ったら、今度は涙をボロボロこぼしながら泣きじゃくる。 表情の変化が激しい娘だ。 俺が目を覚ましたのに気が付くと俺にまくし立てる様に話しかけて来た。「よかった! やっと目を覚ましてくれたんだ! 治療を終えて怪我が治った筈なのに全然目を覚まさないし、顔も真っ青なままだし、もう君は二度と目を覚ましてくれないんじゃないかと思ったよ。本当に心配したよ。でも、目を覚ましてくれて本当に良かった。あと、ごめん。あんな事して本当にごめん」「ここはどこだ?」「ギルドの医務室だよ」「医務室か。なんで俺はここに?」「僕の攻撃が当たって君が倒れてそれで治療で……本当にごめん」 申し訳なさそうに話す彼女に俺はオーバー気味に驚いた素振りをする。 役者じゃないのでかなり白々しい演技だが気にしない。「あー、思い出した思い出した! 攻撃を避けそこなって転倒したんだったな」「本当にごめん。腕試しの筈なのに、足を折るほどの怪我をさせちゃって本当にごめん。なんでもお詫びはするから許して」「なんでもか?」「なんでもするよ! もしこの傷が原因で君が勇者や冒険者が二度と出来なくなるっていうなら責任取って僕が君のお嫁さんになって一生養ってあげるし、僕の顔を二度と見たくないって言うなら一生生活できる位のお金を払うから!」 なんか良く解らんがこの可愛い子ちゃんが俺の嫁になってくれるの?