「その親友の父親が経営する会社は、平等院財閥の取引会社だった。とはいっても、こっちが恵んであげてるような立場だったから、それを利用してアリアはその親友を脅してこちら側につけた」「……他の人間にも似た様な事をしたんですね……?」「それは色々。元々のアリアの人気で入れてくれる子もいれば、そういう風に脅しで入れる子もいた。他にも、アリアに媚びを売ろうとする子もいた。だけど、西条の子は普通に人気を集めようと努力しただけだったから、裏で動いてたアリアに完膚なきまでに負けた」「……それで、どうしてそれをアリスさんが罪滅ぼしするんですか?」 アリアがした事を聞いていて気分が悪くなった俺は、話を切り替える事にした。「アリアがした事は全て、アリスがそうするように教えた事だから」 アリスさんはそう言って、目を閉じた。 その姿はまるで懺悔をするかの様だった。「なっ――!? つまり、雲母を陥れたのは、あなただったんですか!?」 俺はアリスさんの言葉に驚きが隠せなかった。 これは全てアリアが単独でやった物だと思っていたからだ。「そう。当時のアリスは、アリアのしたいままにさせていた。アリアは幼い頃からアリスと比べられて辛い思いをしていた。あの子だって本当は凄いのに、周りの大人達は誰一人アリアを気にしなかった。あの子が今も尚周りを蹴落としてまで上に登ろうとするのは、そうする事でしか自分をアピール出来ないから。アリスは、アリスのせいでアリアに辛い思いをさせていたから、アリアが望むことを全て叶えてあげようと思った。だから、西条の子と勝負する方法と完璧な勝ち方を教えて欲しいというアリアに、全てを教えた」「つまり……雲母がどうなろうと知った事がなかったと……?」「そう。決着がついた時の西条の子が泣き崩れた姿を見ても、アリスは何も思わなかった」「じゃあ、何故罪滅ぼしをしようとしたんですか……?」「勝負に敗れた西条の子が学校に来なくなってしばらくして――西条の子が家を勘当されたという話が耳に入った。そして、アリアが脅して味方につけた子達……本当は西条の子を慕っていた子達皆から笑顔が消えた。中には学校に来なくなった者もいる。私達は、たくさんの人間の笑顔を奪ってしまった。だから、アリスは後悔し、西条の子の勘当を防ごうと思った」 なるほどな……。 学校でツートップと呼ばれるくらい人気があった雲母だ。 そんな人を本気で慕っていたのなら、自分達のせいで雲母が家を勘当されたと思ったのかもしれない。 いや、それどころか雲母が勝負に敗れた時に、激しい罪悪感に襲われたのではないだろうか。 雲母が気づかない様にアリアは裏で動いていた。 だから、脅された子達もその話は自分にしかされていない――自分のたかが一票が入らなくても、雲母の人気なら差し支えないから大丈夫と思ったはずだ。 しかし、『塵も積もれば山となる』という言葉があるように、全員がそんな考えをしてしまったせいで、結果雲母には一票も入らなかった。 本当なら人間不信になってもおかしくない。 なのに、今は平然としている雲母は本当に心が強いだろう。「雲母が勘当されないで済むように、俺にアリスさんが指示して雲母をサポートする事により、学校のヒエラルキーで1位がとれるようにしようとしたんですね?」「そう……だけど、あの事件が起きたせいで、カイとの繋がりを切らなければならなかった」 ……繋がりを切らなければならなかったか……。 つまりあのまま連絡をとってれば、他の人間が関与してくるおそれがあったという事だろう。「でも、辛い過去を持つカイなら西条の子の気持ちを理解できる。アリスが指示をしなくても繋がりだけを持たせれば、どうにかなると思って、カイと西条の子が三年間同じクラスになるようにだけ手を打っておいた」「……え?」 俺はアリスさんの言葉に首を傾げる。 手を打っておいたって、俺の学校公立校なんだけど……? 私立みたいに融通がきいたりはしないだろ……?