ベアトリーチェと会う日、私達は室内ドッグランのある最寄駅の前で待ち合わせをした。私だけ日傘を差していたので、さすがお嬢様とか言われちゃったけど、日焼けをするとお母様に怒られるので許してほしい。それでも今日は犬と戯れるので、私にしては珍しくチェニックにレギンスというかなりカジュアルな格好をしてきたのだ。
「おーい!」
改札から梅若君が出てきた。手に大きなキャリーバッグを抱えている。
「おまたせ!連れてきたよ、ベアトリーチェ!」
そっとキャリーバッグのファスナーを開けると、中から茶色い犬がひょこっと顔を出した。
「可愛い!」