「この鉄の爪はすげぇな!」「どのぐらいの深さまで掘れるんだ?」「俺達なら、迂回するしかなかったな」 ああ、そうか迂回すりゃよかったか。 だが、真っ直ぐにしないと、水の流れで水路が削られて蛇行が酷くなってしまう。 掘り起こせないぐらい大きな岩なら、上を削るしかなかったな。 しかし、こんな巨大な岩がどこからやって来たんだ? 崖から転がってきたのか? かなり苔だらけだったので、かなり前から埋まっていたと思われるが……。 アイテムBOXへ岩を入れて、水路から離れた所へ転がした。「「「おおお~っ!」」」 アイテムBOXを使う度に、人夫達に受けているのだが――まぁ、最初だけ物珍しさで騒いでるだけだろう。 外に出さないで、ゴミ箱へそのまま入れてもいいのだが、あれの存在は家族の皆にも秘匿しているからな。 再び、コ○ツさんへ乗り込もうとすると、夫人が現場監督を連れてやって来た。 彼女は、俺がプレゼントした紺のワンピースを着たままだ。ドレスでは動きづらいのだろう。 2人の話を聞くと斧の数が足りないと言う。商人から購入しようとしたのだが、かなりふっかけられたようだ。 そりゃ、慌てて購入しようとすれば、足元を見られるのに決まっている。やむを得ず、追加で斧10挺と砥石を10個程渡す。 その後は、順調に森の腐葉土を掘り起こし、森の中へ200m程進んだ。 一日200mなら25日で5km――なんとかなりそうだな。今日みたいな岩がなければ200m以上掘れるだろう。 暗くなってきたので、ベースキャンプへ戻る。 家では、すでにスープが出来上がっていた。作業の休みの合間を縫って、脚の速い獣人達がスープの素になる、獲物を持ち込んでいたようだ。「獣も皆で捌いたのか?」「ああ、素材としての売り物じゃないんだ、それならなんとかなる。内臓を傷つけなければいいんだからな」「にゃ」 アネモネが、焼きたてのパンを差し出してきた。一口頬張る。