がとっ、がらーっ。 雨戸を開くと気持ちの良い快晴が待っている。 くああと大きな欠伸をし、振り返ると少女、それに黒猫も同じ仕草をしていた。陽光に輝く布団、そして畳というのもたまには良いものだ。「やあ、おはよう。今日もいい天気だね」「んふふっ、青森2日目ね。おんせんっおんせんっ!」 にゃあ!と黒猫と共にガッツポーズをするが……猫はたぶん行けないよ? さて、少々ややこしいがこの黒猫は使い魔であり、夢の世界から切り離された存在だ。なので夢のなかへ僕と一緒に戻ることはできず、首輪についている魔具を使用して召喚しなおす必要がある。 ……けど、どういう理屈なのかよく分からないな。「ほら、この猫ちゃんは核に術式が埋められているでしょう。だから魔具から離れられないの。眠るときは消灯するようにウリドラが術を切っているのよ」「あ、そういうことか。なら失くさないよう気をつけないといけないね」 ちょうどそのころ、おじいさんから朝食に呼ばれた。 ああ、これが上げ膳据え膳というやつだね。すごく楽だけど申し訳ない……などと思いながら目玉焼き、ご飯、海苔、お味噌汁、という和風な朝食をいただいた。 ああ、田舎の味噌汁ってこんな味だったなぁ、なんてしみじみ思ってしまう。