とはいえ国際交流というより、実は異世界交流だったりするんだけど。まあ、その辺りは意味も分からないだろうし伏せておこう。「じゃあ観光? といってもプール帰りみたいだし、お兄さんはガイドに見えないね」「いえ、私たち、お付き合いしているんです」 そう言い、ぴとりとマリーは僕の腕を抱いてくる。 流暢な日本語と、そして妖精のように可愛らしい仕草へ店員さんは目を丸くした。「はあー、進んでるねぇ。お客さん眠そうな顔をして、とんでもない別嬪さんを見つけちゃったんだ。ほい、醤油チャーシューお待ちっ。これは取り皿ねぇ」 台にはどんぶりと取り皿が乗せられてゆく。2人とも好奇心に目を輝かせているけれど、まずは小皿に移さないと。 しかし、ここで考えを変えたことが、のちのち僕の首を締めるとは思いもしなかった。「いや、どんぶりのまま食べたほうが美味しいかもしれないね。とりあえずこのまま、マリーから食べてごらん」「あら、ありがとう。ウリドラごめんなさい、もう少しだけ待ってちょうだい」 ごっく、と喉を鳴らすウリドラは、形の良い唇へ唾を垂らしている。とはいえ年長者らしく「どうぞ」と手で示し、初ラーメンをエルフさんは味わうことになった。 ぱきんと少女は手慣れた様子で箸を割る。 漂う湯気の向こうには、油の浮いた醤油スープがある。そしてテカった豚肉はいかにも柔らかそうな脂身を見せており、そしてほうれん草の緑色がまた食欲をそそる。