成長してないのは、ノートの方じゃん。 モンスターと戦いもしないくせに。「もしかして、怖いの? 俺に負けるのが?」「悪いけど、ぼこぼこにされても文句言わないでね」 ……乗ってしまった。 馬鹿だな、わたし。何、やってるんだろ。 でも、仕方ないじゃん。ムカつきが抑えられそうになかったんだもん。「そう来なくっちゃね」「一応訊くけど、弓も精霊術も使っていいんだよね?」「もちろん」「言っておくけど、わたしにハンデがなかったら、絶対勝てないと思うよ」「それはこっちのセリフだよ」「――っ」「ハンデとして、森で闘おうよ。ミーヤが力を120%出せるように」「……後悔しても知らないよ」 どうして、わたしの幼馴染はここまで人をイラつかせるのが得意なのだろう。 今なら、顔面を全力で殴れる。その自信があった。「楽しみだな。ミーヤを倒せるの」「そう余裕ぶっているのも今のうちだからね」「はいはい。精々頑張ってくださいな」 どうして、わたしが格下みたいな言い方なの? 挑戦者はノートの方でしょ? 決めた。手加減なんて絶対してやらない。絶対に勝つ。 わたしの望んでいた展開ではなかったけど、これはこれでいいかもしれない。 ノートをぶっ倒せば、きっと気持ちがいい。過去に踏ん切りがつくかもしれない。 それこそがノートの思惑なのかもしれないけど、悔しいが乗ってあげようじゃない。