「ご指名頂きありがとうございます……」慇懃に頭を下げては来るが、ユキリスの表情はラプシーの持つ輝かしい物とは大きく異なっていた。恥辱。その要素を強く感じる。襟付きシャツに薄い青のベストを纏い、下半身にはピッチリとしたビキニパンツを穿いていた。ビキニパンツには、大事な部分を気軽に使えるように大き目の穴が空いている。「っく……」「やべぇ……」喉を鳴らすマッドとビル。「スイマセン。お二人とも、写真を撮っても?」ポーソンはそこで頭を下げて頼み込んだ。「えぇ。もちろん良いですよ」ニッコリ笑顔でラプシーは頷き、「……ぅ。わ、わかりました……」ユキリスは苦しげに目を伏せた。ラプシーがユキリスに抱き着くポーズ。二人揃って尻を突きだすポーズ。地面に寝ころんだポーソンを跨ぐ様にして二人が放尿のポーズを取り、怒涛の勢いでシャッターは切られた。「ポーソンさん。後で写真をお願いします!」マッドは力強く拳を握りしめながらそう叫んでいた。ビルが苦笑いを浮かべていると、「それでは皆様。お車は如何致しますか? 案内人契約をして頂いたお客様には追加料金で銀貨二枚を頂きますが、西域特有の珍しい体験が出来ると思いますよ?」小悪魔な笑みを浮かべ、ラプシーは問い掛ける。「車……?」「いや……でもなぁ……銀貨かぁ……」出せない事は無い金額。しかしそれでも手痛い出費には違いない。「良いよ。ここは私が払おう。車を一台お願いしよう。時間も惜しいのでね」ポーソンが年長者の懐を見せた事で話が進み、「ありがとうございます。ポーソンさん」「いやーどーもです。しっかし車かぁ……何かな? 魔物とかが牽くのかな?」深々とお辞儀するマッドと手刀を切るビル。鷹揚に頷くポーソンとその隣で死んだ目をしているユキリス。そこに、「正面に雌車を一台回して下さい」ラプシーが案内所の奥へと向かって声を掛けた。即座に了解と声が上がり、「それでは皆様、お会計を頂いてもよろしいでしょうか?」ニッコリ笑顔のラプシーに促され、三人は合計して金貨一枚銀貨二枚という、ゼオムントの庶民階級の一家三人食費ひと月分程度を支払った。