心機一転やる気を出したのかもしれない。だが結局、全部人任せのような……本当に大丈夫かね。 それでも、マロウさんが人材をダリアから引っ張ってきたお陰で、少なくとも財務はまともになると思う。「子爵様、一つお聞きしたい事があるのですが?」「はい、何でしょうか?」「私が謝礼に頂いた魔導書なのですが、どういう経緯で子爵領にあった物なのでしょう?」「ああ、先代――つまり亡き父が、旅の魔導師から手に入れた物らしいのですが、詳しくは知りません。誰も使う事ができず死蔵されていたのですが、子爵領を助けるために役に立ったのです。父も天で喜んでおられるでしょう」 なるほどな。その魔導師ってのが、アネモネのお母さんなのか? そんな話をしているうちに、街が近づいてきた。