そんな時、若葉ちゃんが放課後にひとり、瑞鸞の森に入って行くのを発見した。
瑞鸞には緑がとても多く、その深い緑は瑞鸞の森と称されている。そんな瑞鸞の森の奥は鬱蒼としていて、汚れるのをを気にして入って行く生徒も少ないのに、いったい何をしに…。
ハッ!と私の頭の中に、“樹海まんじゅう”が浮かんだ。まさか?!
私は慌てて若葉ちゃんの後を追った。早まらないで、若葉ちゃん!
すると若葉ちゃんが庭師さんと一緒にいるのを見つけた。瑞鸞には樹木医の資格も持っているという、専任の庭師さんがいる。その庭師さんと、若葉ちゃんはなにやら袋を片手に楽しそうに話していた。あれ?
しばらくすると若葉ちゃんは庭師さんに手を振り、笑顔で元来た道を帰って行った。
私は若葉ちゃんの姿が見えなくなったのを確認して、庭師さんに近づいた。もしかしたら若葉ちゃんを止めてくれたのかもしれないし…。
「お仕事中に申し訳ありません。今の子は、ここでなにをしていたのですか?」
「えっ!」