私がそういうと、アズールさんは、固まった。 そしておもむろに、顔を隠すために装着していた兜をとる。 顔を赤くさせて口を半開きにさせたアズールさんの顔が露わになって、その目に涙が溜まっていく。「そんな! リョウ殿! そんな風に言われると、私……!」 そう言って、今にも泣きだしそうなアズールさんが鼻をズズズとすすった。「だから、もう、いいんです。……それに、ウヨーリ教のことが他領に知られる前に廃止しようという試みも保留になりましたし」 そう言いながら、今までの苦労を思い出して思わずため息をついた。 一度、ウヨーリ教を伯爵令嬢の権限でもって、廃止しようかなって悩んでいたところで、どうやら私のその考えがどこかにばれたらしく、領民から猛反発を食らった。