「オラ! お前ら散れ! 旦那は俺らのもんだ!」「そうだにゃ! シャー!」 結構、毛を逆立てているので、マジギレだ。「何だよ~ケチぃ! 少しぐらい分けてくれたっていいじゃん!」「分けたら減るだろうが!」 ミャレーとニャメナが、村の獣人たちを蹴散らし始めた……俺の身体から、なにか獣人たちが好きそうな匂いでも出てるのかな?「ゴメンな~獣人の面子は間に合っているから、また今度な」 すごすごと帰っていく村の獣人たちに挨拶をすると――ミャレーとニャメナが、身体をスリスリして、俺の身体に匂いつけをしている。「ケンイチは、獣人たちにモテるのぉ」 リリスの言うとおりだ。「まったく! 油断も隙もあったもんじゃねぇ。旦那の身体から、なんか変な匂いでも出てるんじゃねぇのか?」 ニャメナが俺に顔を近づけて、クンカクンカしている。「はは、俺もそう思っていたところだ」「笑い事じゃないにゃ」 さてさて、仕事の続きだ。 村の測量が済んだので、村人に別れを告げて車に戻ると、水際を走って次の場所へ行く。 湖畔はずっと砂浜が続き、10mぐらいで森になっているので、水際を走れば車でも十分に走行可能だ。 サンタンカを出て明くる日――俺たちは湖の南端に到着し、ここからは湖を北上することになる。 所々、小さな崖になっている場所や、砂浜がなくいきなり森になっている場所もある。 砂浜がない所は車をアイテムBOXに収納して、アネモネとリリスは獣人たちに背負ってもらいクリアした。 ずっと砂浜で平坦かつ滑らかと思ったが、意外と変化に富んだ地形のようだ。 そのまま3日ほど測量を繰り返して約60kmの工程を消化。 3日目の作業も終了して、午後の3時頃になった。 1日の作業は約20kmに押さえてあまり無理をしないようにする。 急ぐ仕事でもないしな。ゆっくりと進めるさ。 開けた所まで行くと、キャンプの準備をして、寝る所を確保する。 車を停めると、早速ベルがパトロールに出かけた。周囲をチェックして警戒してくれる、彼女に感謝だ。 家やら小屋は、全部サクラに置いてきてしまったので、またコンテナハウスを買った。 これは便利だし。余ったら部屋や小屋に使えるからな。 アイテムBOXからコンテナハウスを取り出すと、水際から10mほどの地点に、コンテナハウスが落ちてきた。 巨大な湖なので、水際に設置しても突然の水位上昇もないので安全だ。「ケンイチ、その鉄の箱は便利にゃ」「おう、これは頑丈だし、簡単に使えるからな」 中にはダブルベッドを2つ縦に置く。これで寝るには十分。 ランプを設置してあるので、夜でも大丈夫。「この部屋の箱は殺風景じゃが、使えるの」「まぁ、それように作られたものだし」 外に出て食事の準備をするため、アイテムBOXから道具を出す。